人気ブログランキング | 話題のタグを見る

カレーうどん丼は異様な料理である_b0190505_09275001.jpeg

先日、食べにいったうどん一喜を再訪してカレーうどん丼を試してきました。皆さん、覚えてらっしゃいますでしょうか。丼の底の白飯を山芋のとろろで覆い、その上からカレーうどんを掛けるというボリューム食です。なんて斬新な組み合わせだと感心しきりだったのですが、後から調べてみたところ、アウトラインの酷似した「豊橋カレーうどん」という愛知県豊橋市のご当地グルメがあるという事がわかりました。厳密に言えば豊橋カレーうどんには一番上にウズラの玉子をトッピングするという、ウズラの玉子の生産日本一にちなんだルールがあるようですが、それ以外はまったく同じです。もっとも、どっちが先かなんて野暮は言いません。肝心なのはカレーうどん丼が美味しいのかどうかです。豊橋カレーうどんを食べた事があるという知人によると、味も量も満足できる出来だったとのこと。これは否が応でもカレーうどん丼への期待が高まります。

カレーうどん丼は異様な料理である_b0190505_09285020.jpeg


間にとろろを挟む意味が今ひとつわからなかったのですが、これは単なるかさ増しではなく、カレーうどんのルーが白飯にしみ込まないようにする知恵なのだそうです。つまりは、カレーうどんとカレーライスは混ぜずに別々に味わえということ。豊橋カレーうどんの公式サイトによれば、カレーうどんを啜り終えるまで箸やスプーンを丼に突き立てるのは禁止だそうです。しかし、禁止されるとやってみたくなるのが人のさが。本当にとろろの隔壁が機能しているのかこの目で確かめたい。今こそ敬愛する椎名誠先生の教え『丼は垂直に掘り進めるべし』を実行に移す時です。

カレーうどん丼は異様な料理である_b0190505_13241260.jpeg
志免町鉱業所立坑櫓を地図で見る


「ひと山、ふた山、み山越え・・・」炭坑節のメロディを心中で口ずさみながら、はやる気持ちを抑えていた僕に冷や水をぶっかけたのは、壁にかかっていたボードに描かれたカレーうどん丼の断面図と、実物のビジュアルとの間にある決定的な違いでした。図では底の深い植木鉢のような丼だったのに、実際には見込みの傾斜が緩やかなラーメン鉢が出てきたのです。それまで僕がイメージしていたのは、福岡が世界に誇る産業遺産、志免町鉱業所の大地に雄々しく屹立する縦坑櫓と、そこから真下に穿たれた全長430mの竪穴でした。漆黒の闇に閉ざされた竪穴の、誰も見たことがない壁面とそこに刻まれた地層を画像に収めようと、右手にスプーン、左手にスマホを持って構えていましたが、こんなに底が浅くては画像映えしないことこの上ない。

当初の目論見は外れましたが、気を取り直してカレーうどんを掻き分け、掘削作業を開始しました。そして早くもスプーンの先が丼の底に突き当たり、カチリと音を立てました。その瞬間、図らずも自分が別の産業遺産へ辿り着いていたことを知りました。縦坑ではなく露天掘り。サマちゃんが掘り出すのは黒ダイヤ(石炭)ではありません、白ダイヤ(石灰岩)だったのです。

カレーうどん丼は異様な料理である_b0190505_09382041.jpeg
▲この画像を目に焼き付けて下さい。



国道201号線を行橋市から田川市へ向かって走ると、山間部を抜けた辺りで左手から強い圧迫感を感じ始めます。聳り立つという表現にふさわしい急峻な傾斜が、道路のすぐ側から天に向かって続いている。それが筑豊のシンボルである香春岳です。しかし、仰ぎ見る者はすぐに、自分の感じているものが圧迫感だけではない、一種の違和感であることに気付きます。そこに当然のようにあるべきものがない。まるでえぐり取られたかのように稜線が途切れているのです。

「香春岳は異様な山である。決して高い山ではないが、そのあたえる印象が異様なのだ」(五木寛之著『青春の門 筑豊編』より)

牡蠣色の地肌が残酷な感じで露出した、膿んで崩れた大地のおできのような印象を受けるカレーうどん丼の浅ましく食べ散らかされた有様は、石灰岩採取の為に頂を削り取られ、半分ほどの高さになった一ノ岳の見るも無惨な姿に酷似しており、それでいてなぜかこちらの気持に強く突き刺さってくるような奇怪な魅力がありました。

さて話を正常にもどしますと、肝心のお味は決して悪くないものの、量の多さが僕にはちと辛かった。味が変わらないので途中で飽きてしまいます。育ち盛りの子供なら嬉しいボリュームですが、何かもう一工夫、たとえばウズラの玉子のフライでも載っていると嬉しい。さしてコスパが良いわけではないのも残念です。ただ、愛知県には行ったこともなければ足を踏み入れる予定もまったくない僕にしてみれば、今後豊橋カレーうどんを口にする機会もないと言っていいでしょうから、カレーうどん丼はありがたい経験でした。2つが同じ物である保証はありませんが。


# by TigerSteamer | 2023-06-13 09:26 | うどん | Comments(0)

レベルの低い人と食べ物の出会い_b0190505_10593095.jpeg


朝の散歩の最中なのだが、飲み物を買いに入ったコンビニで新製品を見つけたので、買ってその店先で食べた。お湯を注いだカップを駐車場のアスファルトの上に直置きして写真を撮っている時にハッと我に返った。持ち帰って家で食べるという選択肢ははなから頭になかった。どんどん人としてのレベルが落ちていっているような気がした。
5分待つ間にパッケージをしげしげと眺めた。キモはバターチキンカレー風うどんではなくて、バター風チキンカレーうどんであること。つまりバターは入っていないし、バターチキンカレーとうどんのコラボレーションでもない、チキンカレーうどんにバター風のなにかを加えた食べ物であるということだ。ひときわ小さい「風」の一文字が食べ物としてのレベルの低さを物語っている。かろうじてデザインの域を出ていないようにも思えるから、詐欺的手法は言い過ぎかもしれない。裏面の原材料名からバター風の所以を読み取ろうとしたが、さっぱりわからなかった。


レベルの低い人と食べ物の出会い_b0190505_10595622.jpeg

# by TigerSteamer | 2023-06-11 10:58 | うどん | Comments(0)

このけだるさはなんだ

このけだるさはなんだ_b0190505_03411504.jpeg

このけだるさはなんだ_b0190505_03413401.jpeg

このけだるさはなんだ_b0190505_03415791.jpeg

懇親会を断って雨の中ダッシュしてたどり着いたらこれだ。そんな気はしていた。雨が降っていて傘がない時はだいたい休み。初めてじゃないからわかる。『雨の中走ってたどり着いたらいつもお休み』ってタイトルで歌が作れそう。

# by TigerSteamer | 2023-06-10 18:40 | うどん | Comments(0)