ガラパゴス頭の悲劇

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関連:ヘルメット用眼鏡

 半年ほど前から、検索ワードの順位に「フルフェイス 眼鏡」や「ヘルメット用メガネ」という単語が目立ち始めた。僕がこれについて書いたのは1年以上も前のことだ。当初は何の反応もなかったのに、今になってアクセスが増えるのはおかしい。訝しく感じて調べてみたところ、メガネ21からフルフェイス型ヘルメット用眼鏡が発売されたことがわかった。検討中から発売中へ、大きくジャンプアップだ。さすがはワン太、褒美にカリカリを送ってやることにしよう。

 ここ数年で、眼鏡用スリットを備えたヘルメットが増えた。こめかみの辺りに眼鏡のツルを通す溝(もしくは柔らかい部分)を設けることで掛け外しをスムーズに、また両サイドからの圧迫を緩和する仕組みだ。かなり前から一部のジェット型ヘルメットなどには採用されていたのだけれど、スポーツモデルやフルフェイス型では稀だった。
 さっそくオートバイ用品店で試着してみたのだけれど、残念ながら溜息が溢れるだけの結果に終わった。昔から何度ボヤいたことかしれない。ヘルメットは規格外の頭には対応していないのだ。僕の身長は184cmなのだけれど、実は頭部が人並みはずれて大きいだけで、平均的な頭のサイズに挿げ替えると180cm弱になる。ヘルメットはもちろん最大サイズしか入らないけれど、メーカーによっては長時間使用すると頭が痛くなるので、購入前の入念なテストが必要になる。試着のできない通販などもってのほかだ。

 このガラパゴス頭とでも呼ぶべきメガネ綱大頭目長顔科(めがねこう、おおあたまもく、ながかおか)に属する僕が眼鏡用スリットを使うと、どうしても眼鏡が上にズレる、というか目の位置が下にズレてしまう。普通の近眼や遠視なら大した問題ではないのだけれど、乱視が入っているとそうはいかない。焦点の狂ったレンズは事故の元だ。よって帽体を削ったり、チークパッドを切ったりという加工が必要になる。
 加工の手間自体は大して苦にならない。ヘルメットを新調するたびに、サンドペーパーで帽体をゴシゴシ削って自分の頭に合わせるところから始めるのが常だからだ。

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 それはさておき、眼鏡ライダー垂涎のフルフェイスヘルメット用眼鏡だ。期待に胸を膨らませて試着しに行ったのだけれど、これまた残念ながら溜息が溢れるだけの結果に終わった。
 モノ自体は素晴らしい。ツルの短い、こめかみと鼻梁でホールドする眼鏡だ。厚みを抑えた針金状のツルが頭の側面にフイットするから、掛けているときに違和感を感じたり痛みが生ずることはない。奥まで差し込む必要がないにもかかわらず、こめかみと帽体で挟み込むので、強いショックを与えてもズレる不安感はない。横長のレンズは視界良好だし、横のヒンジやツルが視界に入り込んで邪魔などということもない。ヘルメットを被っていないときは、付属のアタッチメントを装着して、通常の長さまでツルを延長することができる、なかなかの優れものだ。

 ただし、頭が人並みの大きさだったらの話だ。僕の場合、こめかみに辛うじて届くか届かないかの深さで、帽体には完全に届かない。その上、メガネ綱大頭目長頭科の中でも希少種である鼻低属脂多種(はなひくぞく、あぶらたしゅ)に属するがゆえに、レンズの重さを鼻当てで支えられないのだ。固定するものが何もないから、常に首を上に傾けていないと、ずるずる滑って落ちてしまう。とても同じ人間のために作られた道具だとは思えない。生物学的に、まったく別の進化を遂げた動物・・・人間の靴下を象に履かせようとしているかのような徒労感に襲われた。
 わかってはいた。マイノリティーはどこまでいってもマイノリティーでしかなく、最後の最後まで救われない運命なのだ。

 恨み言はいわない。ただ一つだけ、ただ一つだけでいいから、この進化の波に取り残された哀れな生き物の願いを叶えて欲しい。ヘルメットにマウントするタイプの眼鏡を作ってくれはしまいか。ヘルメットを被っていない時用の眼鏡を持ち歩かなければならない不便はあるけれど、眼鏡ライダーの永遠のテーマである、装着時の手間からは完全に解放される。顔の幅に合わせて作らなくても良いわけで、レンズを大きく、視界の端までカバーすることが可能だ。レンズというのは、大きくなればなるほど中心部分の厚みが増す。それに伴って重さも増える。これを耳と鼻で支えなくてはならない手前、従来の眼鏡として使用する場合は大きくするにも限界があるけれど、ヘルメットに装着するなら何ら問題はない。いいことずくめの、まさにコロンブスの卵的ヘルメット用眼鏡だと思うのだ。
 

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by TigerSteamer | 2015-01-28 03:00 | オートバイ | Comments(0)
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