2013年 01月 12日
新年の抱負を兼ねて
1月2日に行って、まさかの締め出しをくらったお店を再度たずねた。(前回の記事を参照のこと)
麗らかな日和だった先日とは違い、全身を下ろし金で擦られているような寒気の中、往復100キロちょっとを走る。目的は「季節のパフェ」だ。果樹園が経営しているこのレストランでは、季節ごとに旬のフルーツを使ったパフェを出すらしい。
セローのシングルエンジンから小気味の良い鼓動が伝わってくる。スピードも出ないし、すぐに尻が痛くなるけれど、この程度のお散歩ツーリングには重宝する。ゆっくりな分だけ景色を眺める余裕が生まれる。信号待ちのたびにエンジンに手をかざせば、空冷エンジンが気休め程度にアンカの役目を果たしてくれる。
しかし、全身を小刻みに揺らす振動がエンジンからのものだけではないと気づいた時、一抹の不安が生じた。ジャケットの下はヒートテックとTシャツのみ。短距離と侮って防寒対策を怠ったのだ。
ただでさえ凍てついた空気の中をオートバイで走り、目的地で冷たいパフェを食べてトンボ帰りする愚かしさは承知していた。しかし、子供の頃から思い立ったら自制が効かないのだ。友人関係でも仕事でも、この破滅的な性格が招いた惨憺たる結果は枚挙のいとまがないくらいなのだけれど、今回は過去のケースと比較するに、想定される被害の範囲が狭いので良しとする。冷たいなら暖かいものを一緒に食べるか飲むかすればいいじゃない。
目的地に辿り着いた頃には歯の根が合わない有様だった。昼過ぎに出発したせいで既に日は傾き始めており、帰りは往路に輪をかけた寒さが予想できた。なにはともあれ、まずは胃に燃料をくべるのだ。さあ動け、俺の内燃機関。
この果樹園では、一年を通じて、梨、桃、ぶどう、ブルーベリー、みかん、リンゴなどを栽培しているらしい。中でも梨桃ぶどうは大好物だが、季節のパフェである以上、この3つが出てくる可能性は低い。今の季節なら、ミカンかリンゴだろうか。時期が時期だけに残念ではあるけれど、なにパフェであれ美味しければ折を見計らって通う理由になる。
しかし、大きすぎる期待をはぐらかすかのように、パフェにのっていたのはバナナであった。盛大なファンファーレが鳴り響き、脳内を色とりどりに染め抜いたハズレの3文字が乱舞した。「季節のパフェ」に季節感皆無のフルーツが載る不条理。しかし考えようによっては年がら年中が旬であるとも言える。
大なり小なり、ツーリングにトラブルは付き物だ。誰のせいにもすまい。あと十日ほどで四十一の誕生日を迎える。今年は厄年である。軽挙妄動を戒め、思案を友とせよ。
帰りはコンビニの駐車場でエンジンがストップし、延々とキックを繰り返す羽目に陥った。おかげで身体はポカポカ。ありがとうセロー、君の優しさだけが心の救いだ。
私には感謝の気持ちが出るほどの愛情は無かったようです。すぐ手放しましたね(^^ゞ
しかし、峠で野犬の群れに襲われた際、キックでエンジンがかからず逃げ遅れたTZR乗りの話を聞いてから、考えを改めました。
今考えると、アレも作り話だったんだろうなあ。