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薬味の妙

 
 先日、某所で納豆界の常識を揺るがしかねない言葉を耳にした。大の男が大人気ないと、わかっちゃいるが聞いて欲しい。

 発言の主は僕の古くからの友人だ。46歳男性妻子あり。何と彼のまわりでは、納豆にワサビを入れて食すという。
 最初はワサビとカラシを間違えたのはないかと思い、嫌味にならぬよう言葉を選びながら、暗に指摘した。よくある言い間違いだ。そこで揚げ足を取って、鬼の首を取ったように騒ぎたてるほどの子供ではない。にもかかわらず、彼は確かにワサビだと断言した。友人は普段から非常に往生際の悪い人物であり、所謂「這っても黒豆」という奴で、自分の間違いを素直に受け容れることができないだけではないかと考えた。ところが頑として認めようとしない。あろうことか、納豆にカラシを入れるのは「節分の恵方巻き」や「バレンタインデーのチョコレート」と同様に、企業の戦術にハマっている可能性が大きいなどと言い放った。
 納豆にカラシを入れることによって、企業にどんな得が生じると言うのか。これはもう、認める認めないの問題ではない。僕が食いしん坊万歳の梅宮辰夫なら、仁義なき戦い風に眉根に皺を寄せて、「吐いたツバ飲まんとけよ」くらいのタンカは切るだろう。もはや譫言に近い。

 そもそも、納豆にワサビを入れるなら、添え物のカラシの小袋はどこにやるのだ。まさか捨てるわけではないだろう。なんてもったいない。エコロジーこそ最大の美徳とされる現代社会において、これほど常識を欠いた行為はない。シュウマイを食べる時に使うとでも言い逃れる気だろうか。しかし、シュウマイにはシュウマイのカラシの小袋が付いてくるものだ。つまり、どうあっても彼の論理は成立しない。使わなかった納豆の小袋は未来永劫余り続け、アキレスと亀にも似た悪循環を生む運命にある。
 いや、それは好みの問題だから、何を入れても構わない。醤油だろうがソースだろうがマヨネーズだろうが、はたまたバニラエッセンスだろうが、好きなものを入れて食べればいい。ただ、他のものならどうあれ、それが納豆のこととなると黙ってはいられない。ここまでくるともう性だ。
 
 このまま水掛け論を展開しても埒が明かない。そこで試してみることにした。果たして納豆にワサビはカラシを上回るのか。


薬味の妙_b0190505_35349100.jpg




 
 むう






 いやはや、実にアレだ






 どっちでもいいや。
 
by TigerSteamer | 2011-12-26 04:04 | 食べ物一般 | Comments(0)