タグ:荒木智 ( 1 ) タグの人気記事

求ム同好ノ士

b0190505_22383053.jpg
b0190505_22383114.jpg

 はっきりと惹かれている自分を自覚したのは最近だ。ひょっとしたら、この時点で目覚めていたのかも知れないけれど、プロモデラー荒木智氏のブログを読んだのがきっかけの1つあることは間違いない。当ブログで画像を使わせてもらう約束をとりつけた去年の時点では、まだ知る人ぞ知る人物だったのだけれど、それからテレビに新聞にと露出が増えて、あっと言う間に有名人になってしまった。なんだか少し悔しいような気もする。

 錆の浮かんだ乗り物が好きだ。かつては稼働していた機械が動きを止めると、時の流れは錆と燻みによって刻まれる。痩せて節くれだった指や深い皺の刻まれた目尻が好きだというのと、少し似ているかもしれない。ひょっとすると職業柄なのかも。人目に触れないところで、ただ静かに朽ちていく車体を無意識のうちに人になぞらえているのかと思うと、なんとなく後ろめたさを感じる。

 対象は年季物が多くなるけれど、決して古いオートバイや車が好きなわけではない。ピカピカに磨かれたビンテージマシンは、僕の興味のわかない趣味の最右翼だ。錆てさえいれば、何でもいいというわけでもない。メンテナンス不足で赤茶けたスポークホイールからは、極力目をそらせていたい。ラットカスタムなどといったものとも、やや方向性が違うように思う。あくまで自然な時の流れに沿って生じたものが好ましい。昨年の末頃に、三瀬峠で偶然に見つけたアンティークショップの話を書いた。実は今でも時々通っている。綺麗に陳列されたガラクタ達を宝の山のように感じることもあるけれど、錆を美しいと感じるのとは根っこが違うような気がする。
 国産車の薄い塗装が、手で触れる先からぺりぺりと崩れて、粉を吹いて剥がれ落ちるのが好きだ。朽ちてもなお硬く尖り続け、ナイフのように捲れ上がった分厚い塗装の感触も好きだ。かろうじて状態を留めた表面を指の腹で押すと、チリチリと軋みながら崩れていく。瘡蓋を剥がす感覚に似ているかもしれない。もちろんイメージするだけで、実際に行為には及ばない。壊れてしまったものは、二度と元の姿には戻らない。

 きちんと説明できるようになるまでブログには書くまいと思っていた。しかし、いくら考えても審美の基準が身につかない。自然な時の流れに沿ってと書いたけれど、それがうまく表現できてさえいれば造形物でも構わない。思わず見入ってしまうような自然のオブジェには滅多に巡り会えないから、むしろ人の手によるものに感銘を受けることの方が多い。

b0190505_22383453.jpg
b0190505_22383562.jpg

 世の中には余人の理解が及ばないような趣向があるものだ。ただ単に愛でるだけの人なら珍しくはない。僕はもう一歩踏み込んでみたい。盆栽のように手間暇をかけながら、じっくりと時間をかけて錆を育てる趣味が、僕の知らないところで確立していればいいと思った。しかし、あれこれ調べてはみたけれど、とうとうそういったマニアには行き当たらなかった。熱帯魚ではなくて水草を育てたり、ぷかぷか浮かんでピクリとも動かないマリモを大きくすることに腐心したりする輩もいるくらいだから、錆育成マニアがいてもおかしくはないと思う。

 このブログをお読みの方の中に、目覚めたばかりのビギナーに道を示してやろうと思ったその道の熟練者がおられましたら、メールにて連絡をお待ちしています。ぜひともノウハウを御教授いただきたい。理解されることのない趣味を持つもの同士、錆談義に花を咲かせようではありませんか。
 

[PR]
by TigerSteamer | 2015-04-10 22:17 | 雑記 | Comments(4)