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風間深志氏からの手紙

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by TigerSteamer | 2014-06-24 01:37 | 雑記

SSTR2014 目次

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◆プロローグ 〜 SSTRって?
 ライダーは海岸線を目指す

◆準備編
 日出ずる処の探索 ①
 日出ずる処の探索 ②
 日出ずる処の探索 ③
 日出ずる処の納豆を、日没する処の珍味に

◆ラリー本番編
 僕のいちばん長い日 SSTR (往路)
 僕のいちばん長い日 SWTR (復路)

◆ツーリングテーマ編
 まだSSTRは終わらない ①
 まだSSTRは終わらない ②

◆おまけ
 かえすがえすも残念なのは
 SSTR用秘密兵器
 コロンブスの卵
 今日も決め手の銭が飛ぶ
 千里浜にて
 選ばれるのには理由があります。

◆エピローグ
 風間深志氏からの手紙

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by TigerSteamer | 2014-06-23 06:23 | ツーリング

まだSSTRは終わらない ②

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 どんなものなのか想像がつかなかったわけではないけれど、正直なところを言えば、こいつは僕には荷が勝ちすぎるかなと思った。なにせ想像していた以上に塩っ辛い。親父殿の減塩食につきあって、すっかり薄味に慣れきった舌では味わうことすら難しい。お茶漬けをセレクトしたのには、そういう理由もあった。

 粗熱を冷まして少なめによそったご飯の上に、1cmの厚さにスライスしたフグの子糠漬け(フグの卵巣の糠漬け)をひと切れ、トースターで軽く炙ってから載せる。納豆は小粒を使う。糸が消えない程度によく練ったものを、味付けはせずに、フグの子と混ざらないように配置する。お茶はグラグラ煮え立つような熱湯で薄めに淹れる。注ぐのはフグの子の上だ。塩気を洗い流すようにして、まんべんなく、ひたひたまで。皮は途中で除くとよい。すると丁度よい具合にハラリとほぐれる。箸をつける際は、まずは全体をかき混ぜてからだ。納豆の粘りがお茶に乗り移って、ふんわりとトロみを帯びる。付かず離れずくらいの距離感がいい。ジャバジャバ掻きこむと、普通に納豆を食べるのではわからなかった豆の風味と、フグの子のコクと塩気が口の中に広がる。ぬめりが落ちた豆の食感もいい。
 これが僕好みの調合、と言うほどのことでもないけれど、あれこれ試してみた結果だ。他のものならやらないセオリー違反を、あえていくつか試している。納豆トッピングはこれが楽しい。

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 世の中には人の考えの及ばぬところで、たまたま生まれた食べ物、ないしは飲み物がある。有名どころではパンだ。もともとは小麦粉を捏ねただけの生地で硬い物しかなかったが、なんらかの理由で焼く前の生地に菌が取り付き、発酵して柔らかくなった。チーズは羊の乳をヤギの胃袋で作った容器で保存することにより、偶然にできたものらしい。茶葉をアジアからヨーロッパへ船で輸送する間に、船倉で発酵してしまったものが紅茶の起源だという説もある。
 フグの卵巣の糠漬けは、おそらくこれらと同様に、神様のいたずらによって生まれた食べ物ではないかと思っていた。たとえば先にフグの身を用いた糠漬けがあり、その製造過程で誤って卵巣が混入したと考えたらどうだろう。知らずに食べてしまって後で慌てたが、時間が経っても体調に変化はなかった。ここにフグの子糠漬けの起源がある。
 そんなことはありえないと断言する人もおられようけれど、僕くらいボンヤリした人間が作っていたと考えれば、過去の失敗から鑑みるに十分納得できる。

 ところが、1ヶ月近くに渡り実際に食べ続けてみて考えが変わった。このフグの子糠漬けからは、なんとしてでも食ってやろうという執念を感じる。数多の尊い人命を奪ってきたフグの卵巣を、痛めに痛めつけて、懲らしめてやろうという怨念にも似た負の感情がこめられている。人間様の沽券に関わる問題として、命をかけて取り組んだ人がいるに違いない。華岡青洲の妻ではないけれど、糠漬けという術を見出すまでに、何人か身内を殺していてもおかしくないくらいの使命感が宿っている。

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 僕も若くはないから、血圧のことを考えると大量に食べるわけにはいかない。せいぜい一日に一片だ。出勤前のただでさえ気忙しい時間帯に、たっぷりと余裕をもって、いつもより30分早く起きる。そして納豆を練る。毎朝1杯ずつフグの子納豆茶漬けを食べる生活は、単調な毎日に思いもかけぬ充実感をもたらした。優雅でのんびりした朝食は体にも良い。

 そんな楽しい時間も、あっという間に過ぎてしまった。千里浜から持ち帰ったフグの子糠漬けは3ブロック。そのうちの1つは、たびたびこのブログでもネタにしている髭面の強面氏に、お詫びの気持ちを込めて献上した。残り2ブロックもあれば十分だろうと思っていたけれど、結果から言えば足りなかった。この倍は買っておくべきだった。お茶漬けの試行錯誤に日数を費やしすぎて、予定していた他のメニューに活かせなかったのが大きい。物足りないくらいが丁度いいのはどの食べ物にも共通しているから、ここらで切り上げるのが吉かもしれないけれど。
 タッパーの底に残った最後の数片を、思い切ってフグの子納豆スパゲティにしてみた。茹で上がった麺を、刻んだニンニクと鷹の爪、ほぐしたフグの子と一緒にオリーブオイルで炒める。皿に盛ってから引き割り納豆を上に乗せ、刻み海苔を散らしてできあがり。画像が美味しそうに見えないのは、例によって撮影者の腕のせいだ。〆にするにはインパクトに欠けるけれど、安定していて実に美味かった。これにて僕のSSTR2014はおしまいだ。

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 食後の感想をブログに活かすべくPCに向かって、そこでハタと気が付いた。一番大切なことを忘れていた。画竜点睛を欠くとはこのことだ。
 まだSSTRは終わらない①で用意していた伏線を拾いそこなった。あと一品、最後の最後にオチとして試すつもりでいた。蜂蜜入り納豆からインスパイアされた隠し球、名付けて「炙りフグの子のハチミツ納豆ソースがけ」だ。こいつをワインのあてにして晩酌を楽しむつもりでいたのだ。
 惜しい。どうにも心残りだ。SWTR後記を「次回参加の予定はない」と締めくくったけれど、もう1回くらいはフグの子糠漬けを調達しがてら参加してみようと思う。次回は絶対に連休をとって、ここには書けなかった2日目のプログラムにも参加するつもりだ。そしてテーマはもちろん変わらない。

 前言を翻すようで気がひけますが、そんなわけですから、来年もまた千里浜でお会いしましょう。皆さん、その日までさようなら。
 

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by TigerSteamer | 2014-06-20 00:05 | 食べ物一般

ウィルバースがやってきた ヤァ!ヤァ!ヤァ!

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 注文したのは去年の今頃だ。4月の某日、ディーラーから届いたとの電話を受けた時は既にほとんど忘れかけていて、頭の中は???状態だった。

 とうとう到着したのである、タイガー900用サスペンションのウィルバー君(画像の好青年はウィルバー君ではない)が。あまりに時間がかかるので、ドイツのハンブルク港を出てからユーラシア大陸を陸伝いに泳いできているものとばかり思っていたけれど、そうではなかったらしい。なんと、ヒッチハイクの旅だったのだ。沢木耕太郎著『深夜特急』の愛読者である僕は、驚きと感動のあまり声がうわずった。
「よ、よくぞ無事に・・・」
 春先の椿事というか、まるで幽霊を見たような心持ちだった。てっきりベーリング海峡あたりで鱶の餌になったものとばかり思っていたから・・・もういいか、このノリは。

 とまあ、それは冗談だけれど、急なことに頭が着いていかず、狼狽えたのは本当だ。それには理由があった。あれから1年が経過した今、僕の体重は未だ100kgを切っていないのだ。たしか95kgでオーダーしたはずで、昨日の朝の測定結果が101.5kgだから(職場の健診に引っかかって以来、毎朝はかることを義務付けられているのだ)、ノルマよりも6.5kgほど重い。なぜダイエットの結果がはかばかしくないのか、この1年の間に何があったのか、その涙なみだの物語についてはブログを遡って読んで欲しい。
 驚きが喉元を過ぎると、代わりにこみ上げてきたのは怒りだ。1年近く待たせておきながら、来るなら来るで事前に一報くらいするべきた。嫌味の一つも言ってやらないと、どうにも腹の虫がおさまらない。

 実はFacebookで、偶然にもウィルバースの中の人を特定していたのだ。僕はiPhoneのスリープを解除すると、震える指でアプリを起動させた。

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 いかにも喜びの声のように見せかけて、営業用の慇懃なレスポンスがあったところでチクリとやる。なんて嫌味な奴だ。僕が代理店側の人間だったとしたら、こんな客の対応だけはしたくない。

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 予想通りのコメントを返してきた。なんと愚かな、こっちの思うつぼだ。なぜか心がチクリと痛んだ。待て、刺すのは自分じゃない。

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 PCのモニターの前で、見知らぬ男性が愛想笑いを凍りつかせる姿がありありと思い浮かんだ。さあどう返す。どう答えるつもりだウィルバー君よ。

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 え? ど、どういうこと?

 どうも雲行きがおかしい。どうやら、僕の知らないところで、色々とあったようだ。悪名高きウィルバースだったころの代理店は既になく、今は新会社になっているらしい。
 それでは、僕のサスペンションはどこの誰がサポートしてくれるのだろう。本社に直で問い合わせてくれなんて言われたら、ドイツ語がロシア語の次に堪能でない僕はどうしたらいいだろう。

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 あの10ヶ月は何だったのだという思いがないわけではないし、調べたところによると、現在では僕が支払った金額よりもだいぶ安くつくようだ。かえすがえすも悔しい。タイミングが悪かったとしか言いようがない。
 どうにも腑に落ちない気持ちを引きずりつつ、とりあえずウィルバースの中の人は、なかなかの好人物だった。装着後の感想については2ヶ月後か3ヶ月後、僕の体重が目標値をクリアした頃にでも・・・。

 注文・お問い合わせはこちら
 ウィルバースジャパン公式サイト
 

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by TigerSteamer | 2014-06-15 22:50 | オートバイ

ザ・川筋ライダース オーバードライブ

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 順序が逆になるけれど、SSTRから遡ること半月ほど前に、誘われて久しぶりのマスツーリングに参加した。旅先で知り合った人に道案内をお願いして隊列を組む行きがかりマスツーや、縁もゆかりもないクラブの列に知らん顔してついて行く擬似マスツーではない。事前から予定を組みメンバーを募って行う本格的なものだ。
 一般のライダーにとっては何の変哲もない、ごく普通のマスツーリングには違いない。ところが、いったん道を踏み外すと、とたんに”普通”への復帰が難しくなる。集団行動のデメリットばかりが目について、気後れしてしまうのだ。

 誘ってくれたのは福岡、熊本、大分の3つの県にまたがり、本部と5つの支部でメンバーの総勢100人を超えるOVER DRIVEというツーリングクラブだ。全体でのツーリングを企画すると、スーパースポーツやツアラー、ネイキッド、クルーザー、オフロード車などカテゴリーの垣根を越えたメンバーが集結し、それらに混ざってハイウェイパトロールや旧車會の皆さんまでもが千鳥を組んで行軍するという、なんだかよくわからない混沌の極みを呈する。
 この一見、烏合の衆ともとられかねない集団は、大所帯をまとめる為のありがちなルールを強いることもなく、また派閥作りなどとも無縁だ。それでいて団結力がないわけではない。それはOVER DRIVEが福岡県田川市に本部をおいていることと、まるで無関係ではないのではないかと密かに感じている。荒っぽくて何者も拒まず受け入れる懐の深さ、横の繋がりの強さ、いわゆる川筋気質というやつだ。

 炭鉱が廃れるとともに聞かれなくなった言葉に「川筋」がある。川筋者といえば福岡県は筑豊地方、遠賀川流域に生きる人々を指す言葉だ。何事につけ荒々しく、とっつきにくいけれど人情に篤い川筋気質は、炭鉱で掘り出した石炭を運ぶために用いられた舟の船頭達によって育まれた。「宵越しの金は持たない」「喧嘩・博打・酒を川筋に咲く三つの花」というように、同じく「火事と喧嘩は江戸の花」の江戸っ子と共通する点もあるけれど、将軍家のお膝元とは遠く離れているから、独自の華やかな文化には乏しい。その代わりに、三代続かなければ江戸っ子ではないなどといった地方出身者との差別意識がない。四方を山に囲まれた陸の孤島とも言うべき九州の片田舎にあって、流れ者を積極的に受け入れることで繁栄してきた土地柄だからだ。

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 平成の世になった今でも、筑豊(主に飯塚市、直方市、田川市)といえば福岡県の中でも特にガラの悪い地方と認識されている。広域指定暴力団の本拠地があり、頻繁に全国紙の三面を賑わせている。口の悪いインターネットユーザーの間では、某漫画になぞらえて修羅の国と呼ばれることもある。どんな腺病質タイプのもやしっ子でも、筑豊地方の出というだけで元ヤンキーのレッテルを貼られる。筑豊ナンバーの車からは距離をおくに越したことはない。きな臭いニュースを耳にするたび、事件の委細を確認するまでもなく、また筑豊かと半ば確信を持って聞き流すことがしばしばだ。

 その田川市に本拠地を置くクラブなのだから、脛に傷持つ凶状持ちばかりが集まった、ヘルズエンジェルスのような集団を思い浮かべたかもしれない。OVER DRIVEの面々が普段はどんな私生活を送っているのかについては、実はよく知らない。物腰から若い頃の片鱗を感じることもあるけれど、至って普通の大人達だ。この歳になると昔はどうだったなんてことは、酔っ払っていない限りは意味のないことだ。むしろ、その間口の広さ、独特のユルさを気に入ってメンバーの一人に加えてもらった。僕がソロツアラー宣言をするより、だいぶ前のことだ。3年ほど前までは、ちょくちょく活動に参加していたのだけれど、仕事の都合で日曜日に休めなくなったために、もう長いこと疎遠になっていた。

 誘いのメールに目を通した時、参加しようかしまいか迷った。懐かしい面々には会いたかったし、ちょうど一人旅に倦んでいた頃合いで、マスツーリングの誘いは渡りに船だった。ただ、参加をためらう理由があった。大勢で隊列を組んで走るということは、目的地で美味しいものをガッツリ食べるということだからだ。少なくとも僕の理想とするマスツーリングはそういうものだ。
 昨年の暮れに受けた職員健診の結果が思わしくなく、国保連から派遣された指導員のもと、上司の命令でダイエットに取り組んでいる最中だった。加えてマックスフリッツのオーナーデザイナーである佐藤義幸氏が、僕のために作った(わけではない)カーゴパンツを履ける体を作るという、非常に難易度の高いハードルをクリアする必要もあった。

 僕のやっていた(今もやっている)ダイエットとは、朝食をしっかり摂って昼は程々に、夜をヨーグルトのみで我慢するというものだ。本来なら運動も組み合わせるべきなのだろうけれど、大のスポーツ嫌いで、さらに腰痛持ちでもあるため、ジョギングやジム通いは三日坊主で終わる恐れがあった。
 毎朝の体重測定で、たった100gの増減に一喜一憂する生活も、長く続けさえすればそれなりの成果が見出せるものだ。始めた時は114kgだった体重が、あと一息で2ケタというところまできていた。ここが勝負所であり、絶対にリバウンドだけは避けねばならなかった。多く食べた分は、いつもより長めに走って燃やすというダイエットではないから尚更だ。(後半へ続く
 

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by TigerSteamer | 2014-06-14 08:26 | ツーリング

選ばれるのには理由があります。

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 ある時、こんなことを言った奴がいた。
「知っとうや。君らがツヤつけて吸いようマルボロやらラッキーストライクはくさ、あらアメリカではオッサンが好んで吸う煙草よ。つまりエコーやハイライトたい」
 カッコいいと思って吸っていた僕は少なからず動揺した。そしてすぐさまタバコ屋へ走り、エコーを1カートン購入した。エコーの何が悪いとかキサン。これのシブさがわからんとはワシがくらしちゃあ!

 またある時、こんなことを言う奴もいた。
「知っとうや。君らがツヤつけて聴いとうAC/DCやらZZ Topはくさ、あらアメリカのトラックの運ちゃんが聴く音楽たい。いってみりゃ北島三郎やら八代亜紀のごたっとよ」
 カッコいいと思って聴いてた僕は少なからず動揺した。そしてすぐさまレンタルレコード屋(CDじゃねえんだ、わかるだろ?)へ走り、北島三郎を借りてカセットテープにダビングした。もちろんハイポジだ。とんとんとーんとんとんとーん、ちかっぱシビれるばい与作さん。はるばる来るけん待っとらんね函館ぇ。ヒュー、サブちゃん最高ばい!

 簑島海水浴場⇄千里浜なぎさドライブウェイの往復2000km、これを全部オートバイナビに詰め込んでノンストップで聴いていた。BGMというよりはカンフル剤だ。確かに選ばれるのには理由があった。




 

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by TigerSteamer | 2014-06-08 09:20 | ツーリング

高橋剛 詩集②

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日本国は今頃、強い雨が窓を叩いているだろう。グンマー王国には、夏の日差しが訪れようとしている。同じ空の下の、違う空気。君は眠る。僕は走る。

高橋 剛
詩人、フリーライター、フリーエディター
慶應義塾大学卒 東京都練馬区出身 埼玉県入間市在住

 

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by TigerSteamer | 2014-06-08 08:45 | オートバイ

まだSSTRは終わらない ①

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 サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリーが終わって1週間が過ぎた。強行軍の疲れもあらかた抜け、イベントの余韻も薄れてきた頃合だ。九州から参加したライダーの間では、今回の反省を次のラリーで生かすための反省会を開こうという話もでているけれど、次回は来年の開催のようなので、まだ鬼が笑うくらい先の話だ。ここらで一区切りつけたい。

 しかし本当の意味で、僕のSSTRはまだ終わってはいない。旅のテーマである大分県と石川県の融合、「納豆とフグの卵巣の糠漬けのコラボレーション」を完遂していないからだ。
 本当ならラリー終了後、パーティーの席で行うはずだったのだけれど、用意されていたのが白飯ではなくピラフだったものだから、その場で実行するのは控えた。納豆にしろ粕漬けにしろ、食べ合わせるのは白飯と相場が決まっている。そこで持ち帰ってゆっくり味わうことにしたわけだ。羽咋市長が言っていた日本一の米で試せなかったのが心残りだけれど、新米が出回る季節ではないから仕方がないのかもしれない。

 一応はお土産の名目で持ち帰ったのだけれど、密封パックにハサミを入れた途端、家族は蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。どうも臭いがダメだったらしい。しかし、購入者責任で僕が一人で片付けることになったのは願ったり叶ったりだった。
 惜しまれるのは、よく内容を吟味することなく購入してしまった点だ。ゴール直前で時間がなかったし、そこそこのお値段だったものだから、品質はそれに比例するものと疑いもしなかった。後から調べたところによると、最高品質のものは鮮やかな山吹色で、質が落ちるにつれ黒っぽくなるのだそうだ。僕の買い求めたものは暗い茶色だったから、あまり良いものではなさそうだ。これが明太子であれば、鮮やかな赤は例外なく着色料であり、天然に近いものほど食欲のわかない色味をしているのだけれど、フグの卵巣の場合はあてはまらないらしい。

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 味は予想通りだった。ひどく塩っ辛い。酒飲みが喜びそうだ。スライスして軽く炙ったものにレモンを添えて出したら、とたんに相好を崩しそうな知人の顔が数人ぶん思い浮かんだ。しかし、当の僕はアルコールが得意ではないのだ。例外的にワインだけは好きだけれど、残念ながらイケる口ではない。ためしに蜂蜜を垂らしてみた。ブルーチーズの要領だ。トゲトゲした塩味もクセのある臭いも共通しているし、同じ発酵食品なわけだから相性は悪くはなかろうと思ったのだ。

 さて、肝心の納豆なのだけれど、まことに残念ながら、組み合わせとしてピッタリとは言い難い結果に終わった。ネバネバに絡み取られて、プチプチと楽しい卵の食感がなくなってしまった。混ざりやすいように引き割りを使ったのが裏目にでたのかもしれない。塩味の納豆というのは決して悪くはないのだけれど、ただでさえ加減が難しい。糠漬けを生かそうとすれば味が濃すぎるし、少なくすれば納豆に埋没してしまう。さすがは、人見知りが激しくて独りよがりな大分県と、プライドか高くて保守的な石川県のカップリングだ(県民性に関しては、こちらを参考にした)。一筋縄ではいきそうにもない。ここは一つ、腕のいい仲人が必要だ。共通の趣味あたりから攻めるのはどうだろうか。

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 フグの卵巣の糠漬けの楽しみ方の一つに、お茶漬けがある。ググれば真っ先にヒットするから、きっとオーソドックスな食べ方なのだろう。さっそく試してみたけれど、聞きしに勝る美味さだった。この初回の実験のために、ご飯を3杯食べたのだけれど、3杯目にしてもっとも喉の通りが良かった。絶品だ。
 そしてお茶漬けといえばアレだ。かのグルメの大家、北大路魯山人がこよなく愛したという納豆茶漬けがある。

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 これは是非とも試してみる価値がある。茶葉は僕の地元である福岡県産の八女茶を使用する。おしゃべり好きで面倒見の良い福岡県は仲人にはうってつけだ。(次回に続く)
 

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by TigerSteamer | 2014-06-02 12:21 | 食べ物一般