<   2014年 05月 ( 10 )   > この月の画像一覧

ビーナス

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 カフェ・ド・パリのオープンテラスで遅目の昼食をとっていたところ、水差しを手にしたマスターが、さりげなくテーブルの横に立った。
 グラスの水は減っていない。マスターは儀仗兵よろしく捧げ銃のまま往来に視線を向け、おもむろに話し始めた。僕は僕で目の前の皿しか見ていない。黙々と口と手だけを動かし続けている。向こうが一方的に口火を切り、僕が食事の合間に返答を挟む。マスターと僕の会話は、ほとんどの場合、独り言の応酬のようにして始まる。

「ところで、31日はマックスフリッツへ行くんですか」
 31日は土曜日だ。毎月恒例の朝ツーは、第何週目のかは知らないけれど、たしか日曜日のはずだから、その日ではない。
「いえ、何かあるんですか」
「モトナビカフェがあるんですよ、マックスフリッツ福岡の10周年を兼ねて。カフェ自体は隣のアールズでやるらしいですが」
 初耳だ。R's Cafeと言えば、31日は夜から内山覚さんのライブがあるはずだ。
「たしかあの子が来るんです。ほら、国井律子さん。知ってますか」
 先ごろ第一子を出産した女性ライターの顔を思い浮かべた。マックスフリッツとの付き合いが長いという話は、どこかで聞くか読むかしたことがある。
「そうなんですか。正直言うと、あんまり興味がないんです」
 モトナビカフェに興味がないのではない。僕が言ったのは、国井律子氏に代表される女性ライダー兼ライターのことだ。綺麗な女性だとは思うし、著書も何冊か読んだことがあるけれど、とりわけ女性であることとライダーであることを組み合わせると、途端に興味が薄れる。ふだん意識したことはないけれど、どこかでオートバイは男の乗り物だと思っている前時代的で偏狭な男なのかもしれない。
「私もです」
 おやっと思った。話の流れからして、ああいった感じの女性が好みなのかと思ったのだ。
「私に言わせれば、ほんの小娘です」
 いつになく饒舌だ。こんなによく喋る人だっただろうか。心なしか語尾が弾んでいるように聞こえる。いつものマスターは、眉根にシワを寄せた髭面の強面で、無口ではないにしろ多くを語らない印象があった。僕との間で交わされる会話はオートバイに関するものが主で、軽く当たり障りのない範囲に留まっていた。
「やっぱり堀ひろ子さんですよ。憧れでした。いい女だった。彼女に比べたら、国井律子はまだまだです」

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 一瞬、その名前がイメージを結ぶのに時間がかかった。僕とマスターの間には十近い年齢の隔たりがあるし、堀ひろ子氏は僕の世代ではない。
 話がおかしな方向に逸れたな、と思った。チラリと店内に視線を移すと、フロア係の奥さんはカウンターの内側で忙しく動き回っていた。あたり前だけれど、この会話は耳に届いていないようだ。堀ひろ子さんに纏わる話は、徐々に熱を帯びながら続いた。僕は首筋にチリチリとしたものを感じながら、なんとか話の向きをオートバイ談義に修正しようと試みた。そろそろ仕事に戻さないと、奥さんの逆鱗に触れるのではないかと危ぶんだのだ。
「なんでしたっけ、堀ひろ子さんのオートバイ」
 マスターは即座に食いついた。
「ラベルダ1200LTD。私は昔、夜の首都高速で軽く競ったことがあるんです。とんでもないパワーでした。あっという間に千切られましたよ」
 長い沈黙が流れた。遠い記憶に想いを馳せているのかもしれない。マスターはやがて、ボソリと呟いた。夢を見ているような、うっとりした口ぶりだった。
「はあ、たまりませんでしたね。彼女のハングオン・・・あの腰つき・・・」
 もうダメだ。僕の手には負えない。グラスの水を一気に煽ると、ごちそうさまを言って席を立った。振り向きざまに見ると、マスターの顔は煮崩れた里芋のように間延びしていた。鼻の下がみょいーんと伸びて、のっぴきならないことになっている。

 僕も男だから、そのての話に興味がないわけではない。これが女性タレントや身近な誰かの話なら、もっと盛り上がっていたかもしれない。女性ライダーの草分けであり、レース活動や文筆業など多岐に渡って活動していた堀ひろ子氏と国井律子氏を比べるのは、やや筋違いであるような気もする。
 ただ、単純に昔の誰かと今の誰かの対比というのなら、ちょっと思い当たる節はある。

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 佐藤真紀嬢だ。かつてエイ(は木偏に世)出版のライダースクラブ誌に携わっていた女性編集者で、サティの愛称で親しまれていた。現在は古巣を離れ、八重洲出版に移られたらしい。

 僕はライダースクラブを購読したことがないので、彼女がどういった記事を書くのかは知らない。ただ、たまに「らいでぃんぐnavi」で見る彼女は、いつも目を惹く存在だった。色気よりも元気をふりまくタイプではあるけれど、それも無節操にピチピチと弾ける感じではなかった。メインキャラクターである根元健氏や編集長である竹田津敏信氏の横にいて、相手の言葉に耳を傾けては大きなリアクションでコメントを挟む姿は、単なるアシスタントではない能動的な美しさと知性に溢れていた。彼女のしぐさや表情には、なんとなく自分の置かれている境遇を窮屈に感じているように見える瞬間があった。妙に刹那的で投げっぱなしな感じが、10分足らずの番組に生きていた。
 それに比べたら、イズタニ嬢はまだまだだと思うのだ。なにしろ若い。可愛らしすぎる。ファンを名乗る男性は増えるに違いないけれど、それは番組とは関係のない部分だ。アシスタントとしては優秀なのかもしれないけれど、刺身のつま感は拭えない。

 そんなことを考えつつ、ふと思い立ってYouTubeで彼女の出演している回の「らいでぃんぐnavi」を検索したら、モニターに映った自分の鼻の下が、見事なまでにみょいーんと伸びていた。否定はしない。たまらなかったのだ、あのスリムジーンズをカッコ良く履きこなす腰つきが。

(5/31追記) すごく綺麗な人でした。少女のような可憐さと、しっとりした大人の色気が同居した、まさに天使でした。とても一児の母には見えません。マスターの目は腐ってます。

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by TigerSteamer | 2014-05-30 23:45 | オートバイ

僕のいちばん長い日② 〜 SWTR2014後記

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 ラリー終了後のパーティーは、それはそれは酷い出だしだった。一応の式次第は決まっていたのだと思うけれど、参加者全体には通知されていなかった(少なくとも僕は知らなかった)。運営側は空きっ腹を抱えたライダーの群れを甘く見ていたのかも知れない。一応は制限時間内にどれだけポイントを稼げるかの勝負だったわけだから、昼食の時間を削って走り回った者もいたに違いない。係員が「食事は乾杯のあとです」と叫ぶ声も虚しく、瞬く間に全ての皿は無残に食い散らかされた。押し寄せる大波に抗って孤軍奮闘していた女性スタッフが、最後は力尽きて厨房の入り口へと押し戻されて行く様子はスラップスティック的で笑いを誘った。そもそも僕もその亡者の一人だったのだから、マナーや段取の悪さを責められる立場ではない。
 もっとも、僕の見た限り料理が尽きることはなかったから、餓鬼共も次第に人間の姿を取り戻した。

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 立食パーティーの会場が混沌の極みを呈している間も、隣接する野外ステージではトークショーが行われていた。ゲストはオートバイ業界に燦然と輝くビッグネームだ。主催者の風間深志氏を筆頭に、冒険家の加曽利隆氏、元MXライダーの鈴木忠男氏。御三方は共にエジプトのファラオラリーを戦った仲だ。
 普段なら、かぶりつきで観ていただろうけれど、この日に限っては興味が湧かなかった。とにかく疲れていたし、SSTRの主人公はまさしく自分だったわけで、歴史に名を刻んだ英雄達の功績も、愛車の辿った道のりの前には霞んで見えたからというのもある。先人のありがたい言葉に耳を傾けるより、参加者がお互いの健闘を讃え合うことに価値があった。

 会場全体が落ち着きを取り戻し、表彰式に歓声が沸き始めた頃、僕は会場の隅の芝生に寝転んで、つかの間の眠りを貪っていた。そうせざるを得なかったからだ。翌日は仕事だった。夕方までには職場に着いて、何食わぬ顔をして(SSTRのことは内緒にしていたから)夜勤をこなさなくてはならない。貰える筈だった連休が諸般の都合で1日こっきりになった時、SSTRの参加自体を取りやめようかとも思った。結局、そうしなかったのは、今後参加できる確証が持てなかったのと、次回の開催まで待ちきれそうにもなかったからだ。そして何より、回を重ねて色んな要素が変わってしまう前に、より原型に近いSSTRを体験しておきたかった。

 そんなわけで、さらなる盛り上がりを見せはじめた会場を後に、ひっそりとオートバイに戻ってエンジンをスタートさせた。かくして「サンセット・ワーキングタイム・ツーリング・ラリー」は始まった。自宅まで955km、職場に直行したとしても933km、往路より復路のほうが若干長い。チェックポイントなしのスペシャルステージだ。

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 今まで経験したロングツーリングの中でも2000kmは最長の部類に含まれる。日付を跨いでいるから2日と換算されるけれど、その日の内に折り返すうえ、目的地滞在時間は5時間に満たない。
 序盤で高速道路料金を節約しようと、自宅までのルート設定を「一般道優先」に設定したところ、長年使っているガーミン社のzumo660がフリーズした。ルート検索39%で固まったきり動かない。何度やり直しても結果は同じだった。ちなみにiPhoneのGoogleMapアプリなら瞬時に結果を弾き出してくれる。未だにオートバイナビの中では最高峰のような扱いを受けているけれど、そろそろ買い替え時なのかもしれない。

 トリップメーターは281kmを示していた。最後に給油してからの距離だ。僕のタイガーは満タンで25L入る。市街地で15〜18km、郊外をタラタラと流すなら20km/1Lに肉薄することもあるから、本来ならば気に留めるような距離ではない。しかし、往路で北陸道に入ってからは、まともにスピードメーターを見る余裕もなくアクセルを煽り続けた(なんてことを大っぴらに言ってはいけないのだ、SSTRの参加者としては)から、燃料の残りが心配だった。燃料警告灯は12Lを切った時点で煌々と点るので、なんの参考にもならない。これに加えて、千里浜付近には深夜営業のガソリンスタンドがないのも堪えた。金沢市内に入ってから、ようやく沿道にエネオスの看板を見つけた時は、ほっと胸をなでおろした。

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 オートバイに飯を食わせたら、次はライダーの番だ。パーティー会場では食い気より眠気で手早く済ませたきりだったから、早くも腹の虫が騒ぎはじめた。金沢といえば8番ラーメンとゴーゴーカレーだ。これだけは食べておきたいと、事前にチェックしておいた食べ物は他に幾つもあったけれど、それは連休がもらえていたらの話だ。深夜23時過ぎに口に入るものに限定すると、食事のグレードはぐっと下がる。ゴーゴーカレーは福岡でも食べられるから、ここは8番ラーメンがいい。情報収集の段階では、特にここがオススメという口コミはキャッチできなかったけれど、御当地ラーメンというのは美味い不味いに関わらず、観光地の顔の部分だけくり抜いてある絵看板くらいの思い出にはなる。

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 北陸道の尼御前サービスエリアで、思わぬものを見つけた。幟に「みつせ鶏」とある。みつせは三瀬、佐賀県佐賀市三瀬村三瀬の”みつせ”、僕のホームグラウンドである三瀬峠の”みつせ”だ。十年くらい前までは地鶏として売られていたけれど、JAS法における定義と景品表示法の整備により、今ではただの鶏になってしまった三瀬鶏。鶏肉のブランドとしてはとっくの昔に全国区になっているから、どこで見かけても珍しくはないけれど、地元を遠く離れた土地にあって、妙に勇気づけられた。

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 同じく北陸道は刀根パーキングエリアにて、最初の仮眠をとった。眠気もさることながら、往路ではなんともなかった尻の皮が、100kmと走らないうちに限界に達したのだ。
 貧乏ツーリングで野宿は何度も経験した。と言っても、学生時代の話だ。泊まる場所は屋根のついたバス停がほとんどだった。当時の旅は一般道ばかりだったから、高速道路のパーキングエリア泊は初めてかもしれない。
 ベンチは丈が足りず、さらに凹凸が激しかったので、コンクリートの地面に寝袋を広げた。貴重品の入ったウエストバッグを枕に夜空を見上げる。目を閉じるとすぐに、身体が底なしの沼に沈み込むような感覚に襲われた。意識を失う一瞬前に、アラームをセットしなければと強く思ったのだけは憶えている。結局、目が醒めた頃には東の空が白み始めていた。

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 北陸道を南下すると名神高速道路へと連結する。どこが境目とも知れず、ただ名称が違うだけなのに、ガラリと雰囲気が変わるから不思議だ。
 名神は忘れもしない二十数年前、僕が高速道路デビューを飾った道だ。当時の愛車はVT250スパーダだった。たしか友人2人と連れ立って、大阪にある南海部品に向かう途中だった。友人達の乗るNSR250RとTZR250は、料金所を抜けるなり芥子粒のように消え去って、後にはトラックに翻弄されて泣きベソをかきつつ頑なにキープレフトを守る僕だけが残された。最初から友人の道案内に頼り切っていたから、そのまま下りるべきインターチェンジを通り越して、随分先まで行ったように記憶している。

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 間違いない。あの日も桂川パーキングエリアでコロッケを食べた。携帯電話などない時代だったから(ショルダーホンならあった)、はぐれたからと言って連絡を取る術もなく、とりあえず腹ごしらえをして気持ちを落ち着けてから、なぜか行き着くところまで行こうと決意を固めたのだ。心細さはなかった。むしろワクワクしていた。バカだった。今も馬鹿には違いない。あの頃のバカは今の馬鹿と根っこは同じでも、種類の違うバカだった。

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 サービスエリアには欠かさず立ち寄り、コーヒーをガブ飲みする。するとトイレを使用する回数も増える。ナビに表示される到着予定時刻はぐんぐん先に伸びた。カフェインの摂取過多で胃にムカつきを感じつつ、空腹感にはしっかり苛まれた。しかし、まとまった食事を摂ると、ここぞとばかり睡魔に絡み取られるのはわかりきっていた。時間に余裕があれば、学生時代の思い出の味である神戸「もっこす」のラーメンを食べようと思っていたのだけれど、そんなささやかな企みも早々に放棄した。売店でチマチマと買い食いを繰り返しながら走った。
 九州自動車道の福岡インターチェンジで一般道に下り、最初の曲がり角を曲がった時、ステアリングに強い違和感を覚えた。ハンドルが暴れて思ったように弧を描けない。実は、少し前から調子を悪くしていたのだけれど、ちょうどそれと前後してタイヤを交換したので、不調はタイヤパターンのせいだと思っていた。しかし違ったようだ。かろうじて保たれていた何かが、最後の最後で粉々に砕け落ちたような感触だった。

 夜勤を終えて自宅にたどり着いたのが翌日の昼前だ。気分は最高にハイで、目がギンギンに冴えていた。千里浜まで、もう1往復も不可能ではないような気がしていた。
 トップケースとタンクバッグを両手にぶら下げたまま苦労して鍵を開け、後ろ手に玄関の扉を閉めるなりストンと尻餅をついて、そのまま動けなくなった。ここに及んで、全部使い切ったのだと感じた。達成感とも倦怠感とも違う。ぜんぜん爽やかではない代わりに、物凄く深い安堵に包まれた。歯の根が合わず、眼窩がジンジンと震えた。そのまま這うようにして自室に戻り、苦労して服を脱ぎ散らかすと、ベッドに倒れこんだ。憶えているのはここまでだ。そのまま次の日の夕方まで、ぶっ通しで眠った。途中でトイレに行った記憶はないけれど、粗相をしなかったところをみると、ちゃんと起きて用を足したらしい。寝覚めは最悪で、金縛りにあったかのように四肢に力が入らなかった。

 僕のSSWTR-3Daysは、こうして終わった。マシンも人もすべてを出し尽くして、後には真っ白な灰だけが残った。決して褒められたものではないし、なにより事故のリスクは計り知れない。途中で何度か後悔もしたけれど、参加してよかったと思っている。現在のところ次回参加の予定はない。
 

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by TigerSteamer | 2014-05-27 00:00 | ツーリング

千里浜にて

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 千里浜にて、ゴール寸前の僕。
 この瞬間のために頑張って、けっこう痩せたつもりでいたのだけれど、第三者視点では全然だとわかる。僕のタイガーはかなり大きなオートバイなのだけれど、ライダーも負けてはいない。まるでサーカスの熊だ。
 

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by TigerSteamer | 2014-05-25 19:24 | ツーリング

僕のいちばん長い日① 〜 SSTR2014実況

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 午前4時30分、いきなりの遅刻。寝過ごした。ツーリングの前日は寝付けない(まるで子供だ)のが常なのだけれど、いつにも増して目が冴えてしまい、ようやく眠ることができたのは出発予定時刻の2時間前だった。わずかな時間でも寝ておいたほうが良いと信じたのが間違いだった。いそがないと、夜が明けてしまう。

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 日の出から30分遅れでスタート地点着。もう太陽があんなに高く・・・。予定では真っ暗なうちから、ここで待機する筈だった。悔やみきれない。

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 不吉な出だし。ここにあったはずのSSTRステッカーがない。風で飛ばされたにちがいない。貼り方が悪かったのか、それとも貼った場所が悪かったのかもしれない。そんなにスピードをだしたつもりはないのだけれど(信憑性なし)。

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 関門海峡大橋にて。さよなら九州。交通量は少ない。R1200GS(チラリとしか見えなかったけど、たぶん)に右横をブチ抜かれた。脊髄反射で追いかけそうになったものの、すんでのところで自制した。安全運転で来るようにとSSTRのサイトにも記述があった。今さらなんだと言われそうだけれども。

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 美東サービスエリアで朝ごはん。ラーメンを食って、ここが九州ではないことを実感した。空きっ腹に沁みた。しみじみとうまい。

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 猛烈に眠い。やはり食べ過ぎだったのだ。獣の番号は見なかったことにして、宮島サービスエリアのベンチで10分寝る。一回休み。

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 なんとなく運気が上がりそうな名前の「あげまんミルクソフト」を購入。申し訳ないが美味しくはない。食感も悪い。おそらく僕が最初の客であり、ソフトクリームができあがっていなかったのではないかと思う。水っぽくて溶けるのが早く、中に練りこんである揚げ饅頭がブヨブヨにふやけていた。

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 悪い癖がムクムクと首をもたげる。これも納豆と混ぜてみよう。

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 福山サービスエリアにて。SAごとに唐揚げ屋がある。どの店も、まるで自分のところが元祖で、大昔から看板を掲げているような顔をしている。以前は尻尾までアンコの詰まった白い鯛焼きを売っていた店が、いつの間にか唐揚げ屋に変わっていたというパターンも多い。売っているのは鶏肉に粉をまぶして揚げただけのものだ。どれも大して変わりはない。

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 素晴らしい地雷臭を醸している、焼きかき海苔。海苔の佃煮と何かのブレンドというのは、ここ数年のトレンドのようだ。タレントの上沼恵美子がテレビで紹介した「海苔の佃煮とウニのブレンド食品」に端を発しているとする説がある。土産物売り場に、このての商品の多いこと。正直うんざりだが、しかし広島産かき100%となると手に入れておかねばなるまい。

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 だんだん時間が逼迫してきた。サービスエリアで止まるたびにブログを更新しているせいだ。ゴールに間に合わなくては元も子もないので、馴染みの薄い岡山はすっ飛ばして兵庫県に突入した。
 この地に足を踏み入れるのは約20年ぶり、阪神淡路大震災のボランティア以来だ。僕は高校生活の最後の1年を神戸で過ごした。実に濃い1年だった。モリアオガエルの妖精にフラれたり、振られたショックで本格的に麻雀にのめりこんだり、負けがかさんだ挙句にイルカの絵を買わされそうになったりと散々だった。ラブホテルなるものを生まれて初めて利用したのもこの頃だが、一緒に宿泊したのは女性ではなかった。そこには複雑な事情が絡んでいるのだけれど、枚挙の暇がないので割愛する。たしか、「ホテル本陣」とかいう名前だった、今もあるのだろうか。いいことばかりではなかった筈だが、なんだか全てが懐かしい。

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 三木小野インターチェンジで時間を無駄にすること30分ほど。なんで悠長にこんな写真を撮っているのかといえば、あまりの自業自得にかえって開き直ったからだ。高速道路の通行券を落としたことが判明した。半開きだったタンクバッグのポケットから飛んで行ったらしい(カーゴポケットに入れるべきだった)。若かりし頃の横山やすしを彷彿とさせる係員は、非常に丁寧に(若干、面倒臭そうに)対応してくれた。割増料金などはなかった。

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 道の駅みき、最初のチェックポイントだ。本当は関西圏内であと2カ所回るはずだったのだけれど、すっかり余裕がなくなってしまった。とりあえず、山田錦のソフトクリームを食べて気持ちを落ち着ける。後味程度ではなく、しっかり味噌の味がする。なかなかイケる。

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 再び高速道路の人に。大阪京都はすっ飛ばして滋賀だ。3県とも思い出深い土地ではあるのだけれど、感傷に浸っている時間はない。

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 見よ、ここが金沢だ。金沢東インターチェンジの係員から、君も千里浜に行くのかと問われた。その日、ゲートをくぐったオートバイの数が尋常ではなかったらしい。ここに至るまでに福井県も通ったはずだが、なぜかまったく記憶にない。

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 おおジャスコがあった!(よく見たらイオンだった) 慣れない土地でジャスコを見つけると妙に落ち着くのだ。故郷と繋がっているのだと実感できる。一方で聞き馴染みのない大型ショッピングモールを見ると不安にかられる。つまりは田舎者だ。

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 ゴールまで残り30km程。ここにきてようやくSSTRのステッカーを貼った車両をチラホラと見かけるようになった。信号待ちで一緒になった方にゴールまでの道案内をお願いした。ずっと一人だったので、なんだか痺れるくらい心強い。

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 二つ目のチェックポイント。ゴール最寄りの「道の駅高松」にて。制限時間ギリギリだった。

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 これがフグの卵巣の粕漬けだ。今回の旅のテーマでもある。しかし最早どうでもいい。完走できることだけで胸がいっぱいだ。

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 千里浜の砂は固く締まっていて、砂浜を走っているという感触はない。トラックの垂れ流したオイルでズルズル滑る三瀬峠の方がよっぽど危ない。

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 彼が今回のMVPだ。貼ってあるというよりは、辛うじてしがみついているステッカー。時間的余裕のなさを物語っている。反対側に貼っていた片割れは行方不明のままだ。

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 お疲れ様でした。取材に来ていた山下チェスモ氏が、ものすごい美人を連れていた。鼻にタバコを刺しているイメージしかなかったけれど、ちゃんと仕事してるんですね。
 

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by TigerSteamer | 2014-05-24 04:49 | ツーリング

floreo(花は咲く)

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 アウローラのケヤキに花が咲き、いっせいに若葉が芽吹く頃、久しぶりに店を訪れた僕の耳に、嬉しいニュースが飛び込んできた。
 去年オープンしたこの店は、6月でちょうど1周年を迎えようとしている。その記念というわけではなかろうし、まだ暫く先の話にはなるけれど、今年の夏はパフェをメニューに加えるのだそうだ。

 初めて店を訪れた時に、アウローラにぴったりな梨を使ったスイーツについて、あれこれ夢想したことを思い出した。オープンから1年が経って、撒いた種が蕾をつけた。
 ケヤキの花の蕾は小さくて地味だ。若葉とともに花が咲くので目立たないけれど、よく見ると櫛切りにした梨の実を、精巧な細工を施したボヘミアガラスの器に盛り付けたような姿をしている。モチーフとしては梨の花も捨てがたい。花弁を模したデコレーションはどうだろう。決して甘すぎず歯切れの良い梨の果肉は、真っ白で楚々とした花びらにも通ずる。
 パフェのデザインは既に、ママさんの頭の中にあるらしい。アウローラのメニューは、どれもこれも美しい。同じ店内で手作りの雑貨も販売している、彼女のセンスの賜物だ。だからもう何の提案にもならないのだけれど、もし願いが叶うなら、こんなデザートも食べてみたい。

 どうか僕の特別なお店が、これからも陽の光をたっぷり浴びて、すくすくと枝を伸ばしますように。10年後も20年後も、夜明けとともに旅路を照らす道標でありますように。
 
店舗情報
アウローラ
大分県日田市夜明中町2297-3

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by TigerSteamer | 2014-05-20 20:00 | 食べ物一般

日出ずる処の納豆を、日没する処の珍味に

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 サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー当日まで、あと一週間を切った。来週の今頃、ゴール地点である千里浜のパーティー会場で御馳走に舌鼓を打っているか、持ち前の方向音痴を遺憾なく発揮して、まるで見当違いの山奥で遺憾を噛み締めているか、それは走り終えてみないことにはわからない。時間内には辿り着けず、日没を過ぎてもルートの途上にある可能性は十分にあるし、マシントラブルで泣く泣く帰途に着く途中ということも考えられる。それに、想像したくはないけれど、事故にあっていないとも限らない。ただ、一切寄り道をせずに(チェックポイントにも寄らずに)950kmという距離は強行軍と呼ぶにふさわしく、日を追うごとにゲートをくぐる自分の姿をイメージできなくなりつつあるのは事実だ。

 ルート選びと言えるほど余裕のある計画は立てていない。ほぼ一日中、高速道路の上を走る予定で、途中でチェックポイント(道の駅でスタンプを押す、神社で御神籤を引く)の為に一般道に下りる時間的ロスを、どれだけ削ることができるかが肝だ。候補は幾つも立てたけれど、まだ決めあぐねている。幹となるプランに枝葉を生やしておいて、時間との兼ね合いで走りながら剪定していくのがいいかもしれない。

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 ところで、SSTRの参加要項にはテーマという項目がある。単にポイント数を競い合うだけではなくて、先に決めておいたテーマに沿った旅ができたかどうかを評価するわけだ。夏休みの自由研究のようで、なんだかワクワクする。僕の場合、これに関しては随分前から決まっていた。もとい、テーマを決める必要がなかったとしても、やることは決まっていた。
 当初の出発地点を、大分県は佐伯市の夫婦岩付近に設定していたことを以前にも書いた。テーマは「大分県と石川県のコラボレーション」だ。夫婦岩の間から上る朝日と共に、大分県民の朝食を日の沈む千里浜に届け、夕食の席で融合させる。大変にスケールの大きな(?)試みだ。

 最近は”温泉県”というキャッチフレーズを掲げて、売り込みにやっきになっている大分県ではあるけれど、第三者の視点で冷静に判断するに、ちょっと待てと言いたい。たしかに、全国的に知名度の高い温泉地である別府や由布院は大分県にある。その他、大小温泉の数が多いのは認めよう。しかし、本当に温泉イコール大分かと言えば、決してそうではない。隣の福岡県が、代名詞でもあり山笠やどんたくなどの勇壮な祭で有名な「博多」と、大部分であるそれ以外の地域に大別されるのと同じだ。もしくは佐賀県が、「唐津くんち」で有名な佐賀県唐津市周辺と、「通った後には草も生えない」と揶揄される内陸部の住人では、明らかな県民性の違いがあるのにも似ている。

 温泉県を名乗り始めた頃、巷でさんざん物議を醸したように、大分と聞いて抱くイメージと別府や由布院は、はっきりと別物だ。その証拠に、別府市及び由布市民に出身地を尋ねても、絶対に大分だとは言わない。それより誇るべきは他にある。大分から、きらびやかな温泉地を除いた後に残る物。何を隠そう、この土地は名だたる納豆県なのだ。

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 もののデータによれば、大分県民の九割九分は納豆好きであるという。これは納豆汁で有名な秋田県と並ぶ大記録であり、日本広しと言えども二県の他には類を見ない。納豆は、大分県民すべてにとってなくてはならない朝食のおかずであり、大分県民特有の粘り強くアクが強くネチっこくて糸を引きがちな、ややもすると相性の良し悪しがはっきり別れる県民性は、毎朝の納豆によって育まれたと言っても過言ではないのだ。

 ツーリング先で珍味を見つけると、無性に納豆と混ぜて食べたくなるという僕の奇妙な習性については、以前にも当ブログで話したことがある。今回も懲りずに試すつもりだ。石川県の代表的な珍味である「河豚の卵巣の糠漬け」を、大分県産大豆を100%使用した大分県の納豆で和えてみたい。

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 残念ながら夫婦岩のプランは時期的に不可能になってしまったけれど、納豆と河豚の卵巣の糠漬けの融合に関しては、数々の失敗に基づく直感的な手応えを感じている。石川県の県民性は、プライドが高くて他人には内心を明かさず、保守的で排他的で消極的だと聞く。この頑なさを大分の糸で絡みとって、千キロ離れた二つの県を、無理矢理にでも一つにしてみたい。納豆の糸が結ぶ縁。どんな科学変化を起こすか楽しみだ。考えただけでも生唾が湧いてくる。
 最後に、大分大分とさんざん連呼したけれど、僕自身は生粋の福岡県民であること。大分県にも石川県にも、なんら悪印象を抱いていないことをを付しておく。それでは皆さん、一週間後に千里浜でお会いしましょう。
 

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by TigerSteamer | 2014-05-17 23:40 | ツーリング

今日も決め手の銭が飛ぶ

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 カーゴパンツのポケットには、迷った末にコインホルダーを移植した。洗濯の時には取り外せるよう、裏はベルクロで固定してある。歩く時にチャリチャリ音がするのが欠点だけれど、思ったほどには気にならない。試しにスキップしてみたら、こころなしか陽気な気分になったから、これはこれでヨシとする。それに少々の欠点を補って余りあるほどに使い勝手が良い。容量が大きいから、お札やカード類も同時に収納できる。財布よりも便利だ。

 我々、非ETCライダーにとって、有料道路の料金所は難関の一つと言っても過言ではない。オートバイを停めてグローブを脱ぎ、ジャケットのポケットから取り出した切符を手渡し、財布を取り出し、そこからお金を抜き出して手渡し、お釣りを貰って財布に戻し、グローブを付け直してようやくゲートを通過できる。モタモタしているうちに、後ろに長蛇の列ができたとイメージしてみて欲しい。苛立ちを押し殺すトラックドライバーの渋面がバックミラー越しに確認できる。クラクションでも鳴らされようものならパニックを起こしかねない。さらに、焦りのあまり手元が狂って小銭をバラ蒔いてしまったとしたらどうだろう。僕なら逃げる。そのまま、金も地位もすべてを放り出して逃げ出す。その手間を大幅に短縮できるのだから、こんなに素晴らしいことはない。つかの間、自分のクレバーさに酔った。

 つけたら試してみたくなるのが人の性だ。いきなり高速道路でお披露目というのもなんなので、まずは近所のファーストフード店のドライブスルーで試してみた。あまり混雑していないであろう朝方を狙って、颯爽とオートバイを乗り付けた。注文用のマイクに向かって排気音に負けぬような大声でソーセージマフィンと怒鳴った。ヘルメットを被っているせいか、スピーカー越しに店員がなんと言ったのか聞き取れなかったけれど、きっとマニュアル通りの対応だったに違いないので問題はない。アクセルを軽く吹かすと、そのまま店の周囲を半周して受け取り口にの前に横付けた。
 ここがポイントだ。後ろブレーキをじんわりとかけてスピードを殺し、すかさずクラッチを切り、停まると同時に左足を出して車体を支える。同時にアクセルから手を離して右大腿部のカーゴポケットのチャックを引き開け、中に親指と人差し指をつっこんで100円玉を2枚抜き出す。その間、わずかに3秒ほど。指ぬきグローブをつけているのでスピーディーだ。そしてソーセージマフィンは200円。これも既に確認済みだ。

 ただし、澱みなく洗練された流れるような一連の動作を目の当たりにして、店員の目が驚きに見開かれたかと思いきや、窓口の扉が未だ閉まったままだったことは想定外だった。ようやく顔を覗かせたアルバイト嬢は商品より先に会計を促すと、用意に時間がかかるので、できあがるまで店の前の白線の内側で待つようにと言い放った。ソーセージマフィンが手元に届くまでに、エンジンを止めて5分ほど待たねばならなかった。
 たしかに誤算ではあったけれど、それは店員の教育がなっていないからであって、カーゴパンツのポケットに仕込んだコインホルダーの素晴らしさはいささかも揺るがない。それに何も見せびらかしに行ったわけではないから問題はない。
 残念ながら僕がダイエット中であるため、ソーセージマフィンは同居している祖母の昼食にすることにした。言わずもがな、ジャンクフードはデブの素だからだ。最近とみにピントがズレ始めた彼女は、まるで壊れ物を扱うようにマフィンの紙包みを両手で押し頂くと、なんども僕に礼を言いながら裁縫箱の中にしまいこんだ。なんだかすごく良い事をしたような気がした。

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 僕のブログを隅から隅まで読んでいる熱烈なファン(いねえよ)なら、当然お気付きかとは思う。先だって、コインホルダーをウエストバッグのベルト部分にも仕込んだことは記憶に新しい。よって都合2つのコインホルダーを備えることになるわけだ。口さがない者からは、どんだけ小銭が好きなんだ、お前は銭形平次かとツッコまれそうだけれど、これに関しても問題はない。ウエストバッグを巻いていてカーゴパンツを履いていないことだってあるだろうし、その逆もまた然りだからだ。そしてコインホルダーはベルクロ留めで脱着自由だ。

 ちなみにその3日後、おかしな臭いがすると騒ぎ出した母の手によって、ソーセージマフィンは無事にゴミ箱行きとなった。つまり実験は大成功であり、SSTRでの実戦投入を待つばかりというわけだ。
 

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by TigerSteamer | 2014-05-12 20:38 | オートバイ

かえすがえすも残念なのは

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 SSTRに向けてタイヤを新調した。メッツラーのツアランス・ネクストだ。皮むきがてら400kmほど走ってきたのだけれど、ちょっと驚くくらいのハイパフォーマンスだ。しかも安い。
 こんなに上手かったかしらと勘違いしそうになるくらい、ヒラリヒラリとバンクする。ステップを擦るくらい寝かしこんでも、ぜんぜん不安感がない。コーナーが楽しい。逆に直進安定性は低下したようにも感じる。わずかな挙動でも敏感に反応するから、低速ではふらつきの元だ。もっとも、以前履いていたタイヤは長期間の使用で段減りが凄まじく、ほぼ台形と言っていい扁平率だったから、あまり比較対象にはならないけれど。

 特筆すべきはまだある。なんとヒゲがないのだ。タイヤの縁にはスピューと呼ばれる細い突起がある。製造工程でできる空気穴の名残で、普通は使っているうちに磨耗して消えていくものなのだけれど、僕のオートバイはなぜか(ヘタクソとか言うな)最後まで残っていた。端っこまで使うのが必ずしも上手いライディングとは言えないし、そういった用途のオートバイではないから仕方がない。しかし、タイヤを余すところなく使い切れるか否かは、ライダーにとって気がかりの一つといってもいい。どんなに高価で高性能なオートバイに乗っていても、タイヤの真ん中しか減っていないと蔑みの対象にしかならない。
 もっともヒゲがあるのは安物の証拠でもあって、高級なものには最初からついていない。空気穴を必要としない金型を使用するか、あるいは綺麗に削り落としてから出荷するからだ。逆に言えば、いつまでたっても消えないヒゲというのは、下手と貧乏の二重苦をアピールしているわけでもあり、オーナーを非常に忸怩たる気持ちにさせる。「サーキットを走るわけじゃないんだから」などと自分に言い訳しつつ、あえてそこから目を逸らすのは、確実にオートバイに乗って出かける気力を削ぐ。ツーリングライダーにとっては深刻な問題だ(僕だけか?)。いっそヤスリで削ろうかしらなどと思ったり、実行したら負けだと自分に言い聞かせたり。

 聞き苦しいのを承知で言い訳させてもらうけれど、なにも好き好んでグレードの低いタイヤを履かせていたのではない。それしか手に入らなかったのだ。もともとロードタイヤには稀なサイズで選択の幅は狭かった。そこにきて、ちょうど前回の交換時期がBMWの新型発売と重なり、一時的に品薄状態となっていた(「モトラッドが買い占めたから」だとバイク屋は言っていた。真偽のほどはわからない)のだ。げににっくきはBMW-GSだ。選択の幅が広がったのは昨今のアルプスローダー人気があるからで、ひいてはBMWの新型が売れに売れたお陰なのだけれども。

 さて、この高いコストパフォーマンスをもつメッツラーのツアランス・ネクストだけれど、それとは別にして残念に思うことがある。カタログには「驚異の耐久性を実現した〜」云々と書いてあったけれど、これだけコンパウンドを奢ってあるということは減りも早いということだ。SSTRの往復は95%が高速道路だから、あとは推して知るべしだ。そのために新しいタイヤに変えたわけだけれど、帰ってきた時には元の扁平タイヤに戻ってたなんてことにならなければいいけれど。
 

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by TigerSteamer | 2014-05-09 08:37 | オートバイ

コロンブスの卵

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 とにかくカーゴパンツが凄いのである。オートバイとの相性が抜群だ。本当にライディングウェアが発祥じゃないのかと問いただしたいくらいだ。これを考えた人にはノーベル賞をあげてもいい。あるのかないのかわからないSTAP細胞なんかメじゃない。もう手放せなくなりそうだ。
 あまりに無知で恥ずかしいけれど、実際に身につけるまで、横のポケットはアクセサリーの一種だと思っていた。いちおう物入れの体裁は整えているけれど実用には適さない、服飾品には稀にそういった飾りがある。おしゃれな人にとっては当然のことなのだろうけれど、僕などは無頓着なものだから、しょっちゅう重たいものを入れて型崩れを招いたり、縫い目をほつれさせたりしている。

 ところが、このカーゴパンツはそんなことはなかった。その上、ズボンや胸のポケットから中身を取り出すのと比べても、ダブルアクションとシングルアクション、オートマチックピストルくらいに手間が違う。布が張り詰めたりたわんだりしていないから、非常に使い勝手がいい。両手を使う必要も、体を捩ることも、ねじ込んだり引っ張り出す力もいらない。さらに死角にもなっていないから、指先だけに頼らず目で見て確認できる。クルーザーならば話は違うだろうけれど、ニーグリップを常用するタイプのオートバイの場合、大腿部は常に車体の一部と化している。そこに小物入れを増設したわけだ。ハンドルを握っている手を離して、数十センチ後ろの太ももの上にスライドさせればいい。すごく自然でロスが少なく、さらに速やかだ。僕のタイガーには荷物をしまえるスペースがないので、よけいに重宝する。

 たとえば右脚にタバコ、左脚に携帯灰皿というのはどうだろう。・・・いやもったいない。もっと効率的な収納を考案したほうが良さそうだ。なんかないですかね、目からウロコが落ちるような使い方が。
 

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by TigerSteamer | 2014-05-04 17:35 | ツーリング

だからなんだ

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 タイガーのスイングアームにはメキシコ人マスクマンが住まう。デジカメを向けると、顔センサーが反応する。
 

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by TigerSteamer | 2014-05-03 04:20 | オートバイ