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もう二度と行かないお店

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 通気取りで偏食の激しい父親を見て育ったせいか、食べ物にはうるさくないほうだ。人様の作ったものをどうこう言えるほどの味覚は持ち合わせていないし、どちらかといえば味音痴と言ってもいい。ブログ用のネタとして、あえて苦言を呈すようなことはあるけれど、普段はどんな料理でも美味しくいただく。それが、欠点だらけの僕の数少ない美点の一つだと思っている。

 そんな僕にも、一度行ったっきり、もう二度と行く気がしない店がある。その殆どは味とはかけ離れたところに理由があるのだけれど、たとえば接客が悪いとか、掃除が行き届いていないとかではない。
 先日、SNSの繋がりで、佐賀県のとある食べ物屋さんに行った。昼間はまっとうなレストラン、夜はお酒を提供するスタイルのお店だ。繁華街とは遠く離れた長閑な住宅地の中にあって、夜になるとそこだけぽっかりと灯りが燈っているように見える。こじんまりとした店内はやや薄暗いのだけれど、その照明が窓の外から眺めるとすごく暖かそうで、早く中に入って暖を取りたくなる。そんなお店だ。

 なんでもオーナーはまだ20代で、レストランを経営する傍ら子供向けの学習塾を開いたりもしているらしい。若者を集めてボランティアに勤しんだり、イベントを開催したりと、地域の活性化に前向きな人物だそうだ。お店のスタッフや客層も若者が中心で、おっさんが一人で足を運ぶには不向きな気がしないでもないけれど、そこは目をつぶることにした。
 味も悪くない。むしろ美味しい。プロの味というのではないけれど、一品一品に工夫がなされていて、食べていて楽しい。若者向けの店だけのことはあって、量的にも満足できる。

 ところが、店の壁にかかっていたものを見て、一気に気分が萎えてしまった。この『夢』というタイトルのポエムは、聞くところによるとオーナーの手製らしい。よく見ると、店のそこかしこに同じような文章が貼り付けてあった。どれもこれも前向きなメッセージばかりで、オーナーの人となりがよく現れている。
 ただ、僕は昔からこの”相田みつをもどき”がどうにも好きになれないのだ。だいたい相田みつを自体が好きではないのだけれど、それでもこの人は名の通った書家であり、詩人であり、だからこそこうやって作品を残しているわけだ。そのスタイルを気安く真似てしまう人たちには嫌悪感すら感じる。
 SNSで公開して仲間内で評価を貰ったり、自分の家の壁に貼ったりする分には構わない。でも、人目につく場所に堂々と張り出すセンスはいかがなものか。そりゃ自分の店なんだから、好きなようにしたらいいのだけれど、はっきり言ってあなたの作品は若気の至りレベルですよ。

 どうにも気恥ずかしくて、まともに直視できないのは、若かりし頃に同じようなものを書いたことがあるからかもしれない。あまりの居心地の悪さに、早々に退散してしまった。
 どこをとっても不満に思う要素はなかったのだけれど、このポエムだけがダメだった。安いし美味いし多いし、それに穴場だし、もったいないことだと我ながら思う。でも、もう二度と行かないだろう。なんだか、最近こういった理由で敬遠してしまうお店が増えたような気がする。これが老害ってやつかもしれない。

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by tigersteamer | 2011-11-08 00:28 | 食べ物一般