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食べ放題で俺は考えた

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 先日、天気予報が今年の最高気温を告げた日の翌日に、以前から目をつけていた焼肉屋へ行った。夏はまだまだ先が長い。食べるなら今をおいてない。
 他の人はどうだか知らないが、夏バテ防止と言えば焼肉だ。例年であれば、それなりの効果を祈願して、賽銭代わりにそこそこの高級店で独り焼肉とシャレこむのだけれど、今年に限っては財布の中身が心もとない。今年の4月にオープンしたばかりの会社は未だ波に乗っておらず、それどころかトラブルに次ぐトラブル続きで、明日をも知れぬ身の上とあっては贅沢は禁物だ。そこで、焼肉は焼肉でもでも黒毛和牛の食べ放題を選択した。とってつけたような「黒毛和牛」に、我ながら割り切れなさを感じる。しかし、四十路を目前に控えた男が、ただの焼肉食べ放題では切なすぎる。
 和牛とだけ書いてあって、あえて産地には触れていないあたりがなんとも胡散臭いけれど、国産であることは間違いない。産地偽装が横行するこんなご時世に、あえて詳しく書かない姿勢にこそ信憑性があるというものだ。

 この店は、いわゆるオーダーバイキングという方式を取っていた。真ん中に設えた台から好きなものを好きなだけ取って食べるのではなく、メニューを見て注文するわけだ。どんな趣向であれ問題はないのだけれど、一見の客には一人前がどのくらいの量なのかわからない。よって、最初は控えめに頼んで様子を伺ってみることにした。

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 写真ではわかりにくかろうが、出てきたものは思った以上に少なかった。小皿に肉が数切れ載っているだけだ。これのどこが1人前なのか理解に苦しむ。しかし、足りなければ追加注文すればいいわけだから、何ら不足はない。
 端から順に火にくべながら、ふともう一つ疑問が浮かんだ。なになにを何人前、と言って注文するわけだから、「1人前」という概念には一定の基準があるに違いない。これが仮に焼肉ではなくて寿司ならば、一人前は8~10貫を指す。うどん・そばの類なら丼1杯が一人前だ。ところが、目の前に並んだ皿は、同じ1人前でも量がまちまちだ。黒毛和牛ロースとカルビは4切れなのに、ホルモンは6切れだ。かと思えば、タンと豚トロは3切れしか載っていない。要するに、この場合の「1人前」は量ではないのだ。

 量の違う皿に共通した目に見えない基準。そう、価格だ。「1人前」は、仕入れ値で統一してあるに違いない。どこかに最小公倍数があるのだ。食べ放題と謳っているくらいだから、本来なら一番高価であるはずの黒毛和牛が、相当にお粗末な肉であることは想像に難くない。この場合は、ホルモンよりは高いが、タンや豚トロよりは若干安めであるはずだ。
 あぶないあぶない。僕はホルモンが大好きで、肉はさて置いても、そればかりを食べがちなのだ。あやうく大損をすることろだった。食べ放題で元を取ることなど到底無理なのはわかっているけれど、カラクリを知った今となっては、みすみす店を儲けさせるのも癪に障る。かといって、黒毛和牛食べ放題の店に来て、1人前あたりの量が少ないタンと豚トロだけを貪り食らうのは本末転倒だ。よって、この際ホルモンには一切手を出さず、黒毛和牛の合間にタンと豚トロを食べることにする。3:2の割合で腹に詰め込めば、減価償却とまではいかぬものの、店側に嫌な客として印象付けるくらいの効果はあるかもしれない。

 いい加減腹もくちくなって、食後にコーヒーでも飲もうかしらとメニューを眺めていて、ふと気付いた。肉の部位一覧ではなく、デザートに近い位置に並んでいる「店長おすすめ」の文字に。
 ウェイトレスを呼び止めて尋ねると、はたしてその正体はベーコンであった。いかにも怪しい。肉類でありながら、なおかつおすすめメニューでありながら、なぜこんなに目立たない位置に表示してあるのだろう。
 疑問を晴らすべく2人前をオーダーした。既に臨界点が見えている今となっては、それが限度だった。
 


 出てきたものを見て唖然とした。 (続き)
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by TigerSteamer | 2011-08-30 01:12 | 食べ物一般