ZX-10Rファンの皆様へ、心からお詫び

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 エキサイトブログの設定画面にはレポートという項目がある。その日に何人の閲覧者がページを開いたかとか、人気のある記事はどれかとかを日毎/月毎に集計して教えてくれる機能だ。ブログを開設した当初こそ興味深々で眺めていたけれど、ちっともアクセス数が増えない上に、頭を捻って書いた思い入れの強い文章ほど人気がないことががわかってからというもの、なかば放置していた。

 先日、久々にレポート覗いてみたら、その集計項目の中のひとつ、検索ワードのランキングがとんでもないことになっていた。例によって練りに練った記事が、まったく順位に反映されていないのは予想の範疇だ。僕の愛車であるトライアンフやタイガーがランキングに載らないのは、他にもっと優れたブログが沢山あるからで、これもまた仕方がない。そんなことはいい。しかし、映えある第1位が「ZX-10R」とはいかがなものか。実に4人に1人はこのオートバイが目当てで、当方の過疎ブログを訪れていることになる。
 そもそも、僕はZX-10Rが好きというわけではない。どちらかと言えば関心が湧かないジャンルである。さらに、僕にとって、国産4メーカーの中で最も縁遠いのがカワサキだ。乗ったことがあるのは後にも先にも1台だけ。学生時代に中古で購入して、たった2週間で廃車にしたZXR250だけだ。オーバースピードで突っ込んだコーナーを曲がりきれず、見事ガードレールの肥やしになった。ちなみに、この事故が元で地方紙の片隅に載ることになるのだけれど、それはまた別の話。

 わざわざ検索してまで読んでもらっているのが申し訳ない。なにせ、僕がZX-10Rについて触れたのは一回こっきりなのだから。それも大した扱いではなかった。日毎のランキングを遡ると「ZX-10R」と同じ日に、「初心者」とか「免許とりたて」なんてワードもあるから、余計な先入観を植え付けた可能性もある。大昔の話でもあるまいし、今どき国産で初心者の手に余るオートバイなどあるわけがない。

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 そこで、罪滅ぼしを兼ねて、今さらながらZX-10Rのレビューをしたためようと思ったのだ。スーパースポーツに興味がないとは言え、最新のテクノロジーを搭載したオートバイには関心があった。こうみえて、若い頃はホンダのレーサーレプリカに乗っていたことがある。鈴鹿の8耐に憧れて、今は亡きバリバリマシンが愛読書だった。自己流のインチキ臭いフォームだったけれど、膝スリだってマスターしていた。「俺たちのハングオン」に僕の(撮った)写真が採用されたこともある。いやはや、あらためて文章にすると、こんなに恥ずかしい過去もない。しかも語り口が完全にオッサンだ。

 さっそく試乗を・・・と思ったのだけれど、事はそんなに簡単には運ばなかった。まず、近所にカワサキのディーラーがなかった。一番近いところで40キロ近く離れている。ちょっとしたツーリングだ。貴重な休日の半分をそれに費やすことを決意して、事前に電話で試乗車の有無を確認したところ、今は無いという返事が帰ってきた。無いものは仕方がない。
 久しく会っていない友人の一人が、旧型のZX-10Rに乗っていたことを思い出した。正確な年式まではわからないけれど、意地の悪い金魚のような面構えだった。最新型のカマキリでないのは残念だけれど、他にないのだから仕方がない。たしか住まいは北九州の方だったから、自宅まで押しかけるとなると半日どころではすまなくなる。しかし、これも甘んじるより仕方がない。
 飯にでも誘い出して、積もる話をしながら頼んでみよう。ついでにアイツとアイツも呼ぼう。ところが、すっかりその気になって、同窓会でも開くような気分で電話をしてみたところ、またもやつれない返事を聞くはめになった。子供ができたのを機に、オートバイから降りたのだそうだ。これもまた仕方がない。仕方がないことばかりで嫌になる。

 そんなわけで、レビューはBMWのS1000RRに変更だ。既に「お詫びを兼ねて」ではなくなっているけれど、ZX-10Rからの乗り換えを考えている人の役には立つかもしれない。排気量は似たようなものだし、同じスーパースポーツだ。個性の差はあれど、まさかクルーザーとオフ車ほどには違うまい。なにより、カワサキに比べればディーラーが近い。僕はビーマーではないけれど、社外パーツを取り寄せるために何度か利用したことがあるから、顔見知りのスタッフもいる。そうだ、それがいい。明日にでも仕事帰りに寄ろう。

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 長い長い駄文につきあっていただき誠に恐縮だが、オチまであと少しなので、今しばらく我慢していただきたい。

 浅慮というか盲点というか、もっと早く気が付くべきだったのだけれど、僕の車歴には比較できる対象がなかった。タイガーやセローと比べるのはナンセンスだし、一番形が近いのはVFR400Rだけれど、排気量は半分以下で、それも二十年近く昔のことだ。だから、同じタイプのオートバイと比較して、どこがどうという評価はできない。
 単に乗った感想というのなら、思い出すだに凄まじいものがあった。加速と高回転の伸びは暴力的だ。とかくジェントルなイメージで語られてきたBMWにはそぐわない。無造作にパカッと開けると、ドゴーンと周りの景色が後ろにスッ飛ぶ。信号待ちからの発進で2回ほどエンストしたのは、そのぶん下がスカスカなのではなく、単に慣れていないからだ。もしくは余程のヘタか。後者でないことを祈りたい。

 ワンワンと呼びたくなるほどスパルタンな乗車姿勢なのに、首と手首への負担は殆どない。これは構えていただけに驚愕の事実だった。ライディング・テクノロジーの進歩というやつだろうか。急加速をしても、首がカックンとらなない。身体がオートバイと完全に一体化して、空気の壁を切り裂いて進むイメージだ。背中と太腿でダウンフォースを稼いでいる実感がある。唯一キツイのはお腹だけれど、これは単なる中年太りでオートバイの性能とは関係がない。
 パカッと開けるとドゴーンと加速して、それが天井知らずにギュイーンと伸びていく。それでいて、ブレーキはガツンと効くのだ。ガツンと効きながら危なげはなく、余裕をもって止まる。慣れない感覚に首をかしげながら、何度か試すうちに気が付いた。ああ、これがABSか。お恥ずかしながら、オートバイのABSは初体験だった。
 曲がりやすさにも目を見張るものがあった。感動のあまり、なんじゃこりゃーと叫んだ。ただし、これに関しても僕のアナクロな感覚が起因している。普段から慣れ親しんでいる、寝かしこむ寸前でヨイセッと外側に振らなければならないオートバイなんて、最近は殆どないに違いない。
 オートシフターについては存在すら忘れていた。走行モードもスポーツだけで、他を試す余裕はなかった。

 レビューとしてはトホホな結果に終わったけれど、僕の言いたいことは一つだ。まだZX-10Rには乗ったことがないから迂闊なことは言えないけれど、これだけはハッキリしている。もし、二者を含め数多あるオートバイから1台を選ぶ必要があって、どれにしようか決めあぐねているのなら、どんな道を走るのかとか用途がどうだとか、自分がビギナーだとかベテランだとか、予算がいくらかとか置き場所がどうだとかは関係なく、とりあえずセローにしなさい。

 S1000RRから降りて自分のセローに跨ったときの安心感ったらなかった。S1000RRが切り裂いた風を、全身に感じて走る気持ち良さ。SSがレースで勝つために犠牲にしたすべての要素を、セローは持ち合わせている。その代わりセローがレースで勝つことはないだろうけれど、最初からレースに勝つ必要なんてないんだから問題はない。だからこそセローは素晴らしい。もう一度言う、声を大にして。

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 セローって素晴らしい!
 突き詰めて考えれば、これさえあれば他のオートバイは必要ないんだわ、実際のとこ。
 

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by tigersteamer | 2013-06-21 04:30 | オートバイ
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